SANOMAGICのホームページはいかがだったでしょうか。

私が佐野末四郎さんと出会ったのは1996年。「釣りロマンを求めて」等の構成作家である大谷啓二さんの紹介でした。大谷啓二さんは佐野造船所が著名になる以前から佐野造船所に着目し、特集番組の製作なども手がけてきた方です。

私が出会った当時の末四郎さんはNHKアートを退職してSANO YACHT BUILDING（SANOMAGICの前身）を立ち上げたばかり。船の受注はもとより、家具の受注も未だとぎれとぎれで、かなり苦しい思いをされていたようです。ところが話を聞けば気っぷのいい巻き舌の江戸弁と気宇壮大、作ったものを見れば「凛」としかいいようのない孤高の雰囲気、これほどのひとがなぜ世に知られていかないのか、世の中の矛盾をひしひしと感じてしまいました。

その後、幸いなことに末四郎さんは船への回帰を決意し、カヌー（と本人は行っていますが雰囲気は帆船ですよね）の製作を手始めに、ボートショーで名乗りを上げることになりましたので、私も喜んで、パンフレットやＰＲ用フロッピーディスクの作成などで微力ながら助力し、勢い余ってホームページの製作まで始めた次第です。

このホームページの製作は、まったく私の勝手でありますので、万一、仮に、もしかして、ひょっとして、末四郎さんが商売主義に走って「凛」を失ったら、速やかに、私はこのホームページを削除する所存です。幸い、いまのところ末四郎さんは商売主義に走ることもなく、日本の船文化の乏しさを心から嘆き、木船技術の継承を図りつつ、自らの技術向上に切磋琢磨している状態ですので、私も幸せというものです。

もののけ姫の主題歌の中に、「刃のきっさきに似たそなたの横顔」という部分がありますね。私がいままで身近に見た人の中で、その言葉がもっとも似合う男は、佐野末四郎です。

小畑芳晴
メインページへ戻る